36時間で照明を作るハッカソン Design loves Engineering - 1

友人が運営するイベントに誘われ面白そうなので参加してきた。36時間で新しい照明を作り出すハッカソン、Design Loves Engineering。面識のないデザイナーとエンジニアがその場でチームを編成し、その後2日間で照明を作り出そうというイベントだ。開催場所のFabLab Kitakagayaはレーザーカッターや3Dプリンターを備えた実験工房。

https://fablabkitakagaya.org/

1日目

1日目は朝10:00に集合。4〜5人からなるチームに分かれる。このチームは運営側が、参加者の事前情報を元にバランスを考慮して分けたもの。1つのチーム内にはデザイナーやエンジニア、木工技術者など特技が異なる人材が入り乱れている。我がチームにも回路設計や木工、ソフトエンジニアリングにデザインとかなりバランスよく人材が揃った。年齢もバラバラだし学生もいれば社会人もいる、面白い構成。自己紹介が終われば早速行動開始!

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まずはどのチームもアイデア出し。ポストイットをポストイットをつかってブレストで大量のアイデアをだすところもあればをするチームもあれば、早々に作るものを決めて作業にとりかかるところもある。

我々のチームは午前中で「氷」や「水」といったキーワードが出てきて、それらを中心に進めることになった。流動的に変化するカタチを照明に取り入れようという訳だ。2日間の時間は限られている。この時点で回路が扱える人間は、関連するであろうセンサーや部品の買い出し。木の扱いに慣れてる人は材料の調達に出る。その間に、残った2人でとりあえず色んなカタチの氷を作ってみたり、既存の氷を買ってきて触っみたりしてアイデアをまとめた。最終的に「 氷の線香花火」 をキーワードに、氷に包まれた照明を目指す事になった。溶けゆく氷の重みによって光量が変化し、最終的には火が消えてしまう様を表現する。

後は定期的なミーティングを挟みながら、各自の担当作業を必死にこなす。チーム作業の場合、この段階に入ってしまうともう安心。皆、同じゴールが見えている。23:00、翌日の完成の見通しが立った時点で初日の作業を完了。

2日目

翌日は9:00集合。それぞれの作業を開始。ここから夕方の完成までの段階ではとにかくたくさんの問題が発生した。前日は照明そのもののアイデアが必要とされたが、2日目はそれを実現するためのアイデアが大量に必要とされる。照明を支える台の構成がまとまらない、センサーの感度がうまく調整できない、氷の固定方法や防水対策など問題はいくらでも出てくる。全てを解決するのは不可能なので、優先順位を決めてどんどん処理してゆく。

午後にもなれば各チームとも制作段階の一色。3Dプリンタやレーザーカッターもフル稼働。使い方はFabLabの関係者や運営者が丁寧に教えてくれるので、とても気軽に扱える。突然思いついた部品もレーザーカッターであっという間にできれしまうのでその便利さに驚いた。

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そして19:00 作業終了。それぞれの作品を持ち寄って各チームのプレゼンが行われる。

チーム1
LEDを備えたキューブを追加する事で光量を調節できるデスクライト。キューブは3Dプリンタで制作された。このチームは完成が遅れたのだが、粘り強くデモまで完遂し、プレゼンは大盛り上がりだった。

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チーム2
ぼくらのチーム。「氷の線香花火」をテーマに作った照明。LEDを包んだ氷で光を拡散することで幻想的な雰囲気を狙った。また氷が溶けて軽くなるにつれ光は弱くなり、最後には消えてしまう。重さの検知には圧力センサを使用。チームメイトが皆本当に優秀で、驚かされることばかりだった。

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チーム3
人の足音に反応して幻想的な光を演出するキューブ型照明。既製品の人感センサー照明とは違い、必要最小限の光を提供する事を目的としている。万華鏡のように幻想的な光がとても美しい。

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チーム4
メガネ型照明。メガネの中央部分をタッチすると光を放つ。CADで作成され、3Dプリンタで出力された筐体は2日間で作ったとは思えない程の出来映え。FabLab開催のメリットを一番活かした作品だったと思う。

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チーム5
今回のイベント主催者2人を中心にしたチーム。イベントを切り盛りしながらも空いた時間でコツコツとハンダ付けを繰り返して制作された照明。電子部品で組まれた固まりを正面のLEDが照らし、「FABLAB」の文字が浮かび上がる。レーザーカッターにより切削されたダイアルで照明の角度を15度単位で調節できるというマニアックな機能が盛り込まれている。ある意味今回一番驚かされた作品。

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感想

  • 異色の人間がチームを組むので、自分が何者なのかを考えさせられる。二日間という限られた時間の中で自分には何ができるのか。何も特技がなくても、たとえその場だけでも何かしらのスペシャリストである事が求められる。
  • 2日という期間がちょうど良かった。3日や4日あってもアウトプットはそんなに変わらないと思う。必要最小限のものを最短で作り出さなきゃならない制約があったからこそ濃密な時間を共有できた。ここが結構重要なんだと思う。
  • 最終的に出来上がったものについて、もっと皆で議論する時間があればもっともっと充実したと思う。意外にあっさり飲みに突入し、楽しんでしまった。

今回は二回目の開催で次回もやりそうな雰囲気なので、少しでも興味がある人なら参加をオススメする。

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