展覧会「レオ・レオニ 絵本のしごと」に行ってきた

北九州市立美術館の分館で催されている展覧会「レオ・レオニ 絵本のしごと」に行ってきました。レオ・レオニは「スイミー」や「あおくんときいろちゃん」で有名な絵本作家。この絵本作家の原画がたっぷり見れる展覧会です。

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原画を見て呆然としました。印刷されたものとあまりに違いすぎる。印刷物になると、伝わってくるパワーが原画に比べて10分の1くらいに減っているように感じます。なんでだろう?原画と絵本ではサイズもそんなに変わらないのに。なんとなく気付いた事をメモ。

描いた跡から意思・意図が伝わってくる

これが一番大きい。原画の場合、作家が考えて、描いたプロセスの「跡」が全て残ってる。たとえば筆跡の密度によってできる深み、白い紙を貼ってバランスを調整した跡、強く色鉛筆で描いた際にできた紙の凹みなど。全てから「黒く見せたい」「少しだけ薄く、もやのように見せたい」「ここの余白を見せたい」というとっても繊細な意思がビシビシ伝わってくる。印刷された絵本の場合、これらの大半が失われている。

粗が目立たない

コラージュ部分のズレや貼り跡が原画では自然なものに見える。実物なので当然。印刷物になると貼られてるものの粗はノイズでしかないので気になってしまう。

文字のレイアウト

文字が加わると印象が変わる。特にスイミーのように教科書に掲載されたものは文字が大きく、本そのものの比率が特殊なため全く違ったものになっている。

自分が小さな頃から読んできた絵本には、作家の「意図」のほんの何割かしか含まれていなかった。なんともったいない!紙媒体からデジタル媒体に移る場合にも「意図」は更に減っている。これは絵本だけではなく漫画でも小説でも同じ。デジタル媒体で作家の意図を如何に保つかというのは、面白いテーマだと思う。そもそもデジタル媒体の特徴に則した意図の組み込み方ってのもあるだろう。たとえばコラージュするにしてもオンライン上にしか存在しない素材をつかって切り取ってみるとか。コラージュの素材が色んな要因で動的に変化したり動いたりとか。ただのアニメーションじゃなくて。